憧れの上司は実は猫かぶり!?~ウブな部下は俺様御曹司に溺愛される~
龍志は相手が専務でも一歩も引くつもりはないようだ。
そんな彼の態度に胸が熱くなる。

「わ、わかった。
一方の言い分だけを聞いて判断して悪かった。
これでいいんだろ?」

形ばかりに専務が頭を下げる。
これで本当に謝罪になっていると思っているのだろうか。
その横柄な態度にむっとしたけれど、顔には出さずに黙っておいた。

「ありがとうございます。
では、我々はこれで。
井ノ上、行くぞ」

「はい」

龍志に促され、ソファーから立ち上がる。
去り際、彼が専務を振り返った。

「あ、専務」

「なんだ?」

ようやく解放されたとコーヒーカップを口に運びかけていた専務が、不機嫌にこちらを見る。

「昨日の接待、すでに奥様と他の役員の耳に入っていますので。
では」

それを聞いた専務の顔色がみるみる変わっていき、カップが落ちてガチャンと鋭い音を立てた。

今度こそ促されて専務室を出た。
一緒にエレベーターを待ちながら龍志の顔を見上げる。

「説明して欲しそうな顔だな」

「あう」

視線に気づいた彼が困ったように笑い、額を突いてくる。
おかげで変な声が出た。

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