憧れの上司は実は猫かぶり!?~ウブな部下は俺様御曹司に溺愛される~
魚のにおいが強いものはとにかくダメだ。
サバやイワシはもちろん、マグロもブリもダメ。
接待でたまに行く高級寿司はそういうものがメインだから、私には悩みの種だったりする。

「すまない、気づかなかった。
でも、そういうときは言っていいんだぞ」

箸を置いた彼は、真剣に私を見つめた。

「あ、いえ。
我が儘言うわけにはいきませんし。
それに、どうにか食べられますから」

慌てて笑ってその申し出を断る。
少し酔っているせいか言い過ぎたなと後悔した。

「食べて吐き気がするほどのものを、食べられないというのは我が儘じゃない。
そんな無理はしなくていいから、そういうときは言え。
俺も次からは配慮する」

じっとレンズの奥から見つめる宇佐神課長は、完全に私を心配している。
それに、酷く驚いた。
会社のできた上司の宇佐神課長ならわかるが、家での俺様宇佐神様なら仕事なんだから無理してでも食えとか言いそうなのに。

「ありがとう……ござい……ます。
お言葉に甘えて、次からそうさせていただきます」

戸惑いつつも素直にお礼を言う。

「うん」

それを聞いて課長は満足げに頷いた。
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