憧れの上司は実は猫かぶり!?~ウブな部下は俺様御曹司に溺愛される~
今日ももちろん、龍志がメイクして髪を結ってくれる。

「ほら、できた」

「おおーっ」

鏡の中も私は、自分で言うのもなんだが美しい。

「私もメイクの勉強、しようかなー?
龍志、教えてくれませんか」

知っておけば仕事でなにかと便利だというのもある。
しかしそれ以上に、彼から学んだメイクを毎日すれば、それだけ彼を感じられそうな気がした。

「いいぞ」

嬉しそうに彼が笑う。

「やった」

私も嬉しくて笑っていた。

チェックアウトしたあとは予定どおり、神社へと向かった。
駐車場で車を停め、神社の敷地に入る。

「なんか御神域って感じがしますね」

森の中にあるその神社は一歩、足を踏み入れた途端、空気が変わった気がした。
しんと静まり、空気がひやっとする。
自然と背筋が伸びていた。

「そうだな」

それは龍志も同じみたいで、引き締まった顔をしている。
観光地近くにあり、話題の神社なのに人はまばらだ。
粛々と本殿へ向かい、お参りをする。

……龍志のこの先の人生が、少しでも苦難の少ないものでありますように。

私がするお願いなんてこれしかない。
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