憧れの上司は実は猫かぶり!?~ウブな部下は俺様御曹司に溺愛される~
第十六章 憧れの上司が一時帰宅しました
「はぁーっ……」

携帯を見ながら私の口からため息が落ちていく。
お兄さんが亡くなって龍志が実家へ帰り、もう次の週末がやってくる。
けれど彼は帰ってこないどころか何度メッセージを送っても既読にすらならなかった。

「宇佐神課長、やっぱり連絡なしですか」

「うん、そう」

私が暗いからか、由姫ちゃんが心配そうに声をかけてくれる。

「きっと、忙しくて連絡する暇がないだけですよ。
私も祖父が亡くなったとき、大変でしたもん」

そのときを思い出しているのか、彼女の目が遠くなった。
彼女の祖父は地元ではそれなりに知られた人で、弔問客が多くとても大変だったと聞いている。

「そうだね」

大丈夫だと笑顔を作る。
きっと、忙しいだけ。
そう、自分に言い聞かせながらもなぜか、龍志はもう帰ってこないような気がしていた。

今日も主のいない龍志の部屋へ帰る。

「ただい……」

「おう、おかえり」

ドアを開けると何事もなかったかのように龍志が料理をしていた。
その姿を見て、みるみる涙が浮かんできたが、耐えた。

「……帰ってくるなら帰ってくるって連絡くれたらよかったのに」

< 466 / 470 >

この作品をシェア

pagetop