憧れの上司は実は猫かぶり!?~ウブな部下は俺様御曹司に溺愛される~
けれどそれが反対に、私の不安を掻き立てる。

「りゅう、じ?」

お願いだから、そうすると言ってくれ。
縋るような気持ちで彼の顔を見た。

「ありがとう。
俺は七星を好きになって幸せだったよ」

なんでそんなに幸せそうに笑って、今生の別れのようなことを言うの?

「なに、言ってるんですか?
これからふたりで、幸せになるんですよ。
どこ、行きます?
逃避行は北と相場が決まってますが、私は寒いの苦手なので……」

「七星」

龍志が私を抱きしめる。

「ごめんな、こんな俺がオマエを好きになって」

「……ほんとですよ」

とうとう、耐えきれなくなって涙が一粒、ぽろりと転がり落ちた。

「こんなことなら龍志なんて、好きにならなきゃよかった」

それは続いてぽろりぽろりと落ち続け、終いには彼の胸に縋って泣きじゃくっていた。

「ごめん。
本当に、ごめん」

私の髪を撫でる彼の手は優しい。
それが一層、涙を誘った。

「仕事やなんかを整理しに戻ってきたんだ。
それでたぶん、一週間くらいはいる」

「……はい」

「それで、実家へ戻る前の一日、七星の時間を俺にくれないだろうか」

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