憧れの上司は実は猫かぶり!?~ウブな部下は俺様御曹司に溺愛される~
庶民の私が大会社を経営する家に嫁ぐとなるといろいろ障害が立ちはだかるのもわかっている。
けれどそんなもの頑張ってどうにかするし、それに龍志ならきっと私を守ってくれる。
しかしそれが彼の口から出てこないのが、不思議だった。

「俺と結婚して、しかも宇佐神の家に入れば七星に苦労をかける」

「そんなの、わかってますよ」

起き上がってじっと、彼の顔を見つめる。

「でも、私が多少のことじゃへこたれないのは龍志も知っているでしょう?」

「……そうだな」

龍志はおかしそうに笑い、自分の左手を上げた。
よく見えないのか、目を細めてその薬指に嵌まる指環を見る。

「お袋にこの指環を外すように迫られて拒否したら、指を切り落とされそうになった」

「……え?」

彼がなにを言っているのかわからず、顔が固まった。

「切り落としてもすぐに手術して繋げれば問題ない、だ、そうだ」

呆れるように龍志が、肩を竦める。

「え、えーっと……」

いや、そうかもしれないが、切り落とされるのは激痛だし、手術したあとのリハビリも大変そうだ。
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