憧れの上司は実は猫かぶり!?~ウブな部下は俺様御曹司に溺愛される~
龍志からで、遅くなるが帰ってから夕食を作るから待っていてくれとあった。

「そんな無理、しなくていいのに」

電車を降り、真っ直ぐにマンションへと帰る。
着替えを済ませ、龍志の部屋の冷蔵庫を開けた。

「なに作ろうかなー」

彼はああ言っていたが、作って待っていようと思った。
一緒にごはんが食べられるのもあと何回か、だ。
だったら毎日、私が作ったものを食べさせて、私を覚えていてほしい。

メニューを決めて材料を取り出し、調理台へ向かう。
実家に戻るのならこの部屋はきっと引き払うのだろうし、私のものを持って帰ったほうがいいよね。
自分の部屋、そのままにしておいて正解だったな。

あらかた下ごしらえが済んだところで、龍志から今から帰ると連絡が入った。
ちょうどいいタイミングだ。

「ただいまー」

「おかえりな、さい」

できあがったのを見計らったかのように彼が帰ってくる。
私の前に立った彼は、今までと変わらずちゅっと軽く唇を重ねてきた。

「俺が作るって言ったのに」

できあがっている料理を見て、龍志は不満そうだ。

「私が作った料理を、龍志に食べさせたかったので」

< 478 / 515 >

この作品をシェア

pagetop