憧れの上司は実は猫かぶり!?~ウブな部下は俺様御曹司に溺愛される~
「無駄なんかじゃない。
俺は、少しのあいだでもここで七星と夫婦として生活したかった。
それに俺がいなくなったあと、売っても賃貸にしても生活の足しになる。
できれば、ずっとここに住んでほしいがな」

株やお金、そしてこのマンションが彼なりに私を思い、できうる限りの誠意なのだと気づいた。

「……ありがとう、ございます」

腕を伸ばして彼の首に絡ませる。
少し背伸びをして、彼の唇に自分の唇を触れさせた。

「えっ、あっ」

珍しく私からキスしたからか龍志の、眼鏡の弦がかかる耳が真っ赤になった。

「でも、私は龍志にこんなにしてもらったのに、なにもあなたに渡せるものがありません」

私は彼がいなくなったあとも、彼の思いに守られて生きていく。
でも、龍志は?
私は彼がつらいとき、代わりに傍にいられるものをなにも渡せない。
なにか……なにかないだろうか。

「あるだろ」

ちゅっと私に口づけし、彼はソファーへと促した。

「KAGETSUDOUのポスターやCMを見たら、俺はきっと七星を想い出す。
今も頑張って仕事してるんだろうな、俺も頑張ろうって気持ちになれる。
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