憧れの上司は実は猫かぶり!?~ウブな部下は俺様御曹司に溺愛される~
第十六・五章 デキる部下を嫁として連れてこられない事情
「僕は父さんに従うしかできないから、自由に生きている龍志がうらやましいし、憧れる。
だから僕の分も、龍志は自由に生きて。
そのためだったら僕はなんでもするよ」

いつもの、なぜか泣きそうな顔で兄が笑う。
俺が何事か言い、兄は驚いたような顔をしたあと、今度は嬉しそうに笑った。

「兄貴……!」

そこで、目が覚めた。

「夢か……」

起き上がり、眼鏡を探す。
昔、兄の部屋だったところで床に転がって寝ていたので、身体がバキバキといった。
俺は家を出てもいつ帰ってきてもいいように部屋をそのまま残されたが、兄は世帯を持って外で暮らしだした途端、母は承諾なく部屋を片付けてしまった。

俺の部屋は義姉さんたちに譲ったので、俺は葬儀とそのごたごたが片付くまでここで寝るしかない。
母は次期当主だなんだと言いながら俺がどこで寝ていようと関心がないし、立派な部屋を用意されたところでやはり、ここで寝ていただろう。

「うー」

顔を洗いながら、夢を思い出す。
あれは確か、俺が大学進学で父と母と大いに揉めたときだと思う。
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