憧れの上司は実は猫かぶり!?~ウブな部下は俺様御曹司に溺愛される~
あからさまにため息をついて見せたが、母は気づかずに広間のほうへと行ってしまった。
元兄の部屋へ行き、手早く喪服に着替える。

「義姉さん。
起きてますか」

「すみません、龍志さん。
まだ、奏多(かなた)が起きなくて……」

ドアをノックするとすぐに中から義姉さんが出てきた。
よく眠れなかっただけとは思えないほど、顔色が悪い。
夫を失い、さらにこれからどうなるのかすらわからないとなると不安で仕方ないだろう。

「わかりました。
頼んでおくので奏多が起きたら一緒に朝食、摂ってください。
親類は俺が押さえておきます」

「なにからなにまですみません」

安心させるように微笑みかけると、彼女は申し訳なさそうに頭を下げた。

「俺が守るからなんでも頼ってくださいと言ったじゃないですか。
だからそんな、気にしないでください」

「本当にすみません」

再び彼女が頭を下げ、泣きたくなる。
兄と付き合い始めた頃は控えめでおとなしくはあったものの、それでも明るく朗らかな人だった。
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