憧れの上司は実は猫かぶり!?~ウブな部下は俺様御曹司に溺愛される~
しかし兄と結婚して母からいびられ続け、奏多が生まれてそれはさらに酷くなり、こんなに誰に対しても萎縮し、おどおどする人になってしまった。

広間に向かいながらお手伝いさんを捕まえ、あとで義姉さんたちに朝食を食べさせるように頼む。
三歳の子がいるのだというのは何度も説明した。
母が支配するここでは、それすら無視されかねない。
あとで時間を見つけて小さな子供が食べるようなお菓子やジュースを買ってこようと決めた。

「龍志さん!
皆さんをこんなにお待たせして、なにをしていらっしゃったの!?」

広間へ行くと母が詰め寄ってきた。
詰問する声が、かんに障る。
それでも努めて、普通な顔をした。

「すみません、母さん」

口先だけで謝り、用意されていた上座の席へと座る。
こんな大事なときだというのに父はいなかった。
長男が亡くなったというのに仕事が忙しいそうだ。

広間には親類一同、さらに会社の関係者が集まっている。
こんなに朝早くから暇だなとは思うが、今晩は通夜なのでそれもあるのだろう。
しかし、朝食を食べる時間くらい欲しかった。
昨日の晩もまともに食べていないので、腹が減る。

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