憧れの上司は実は猫かぶり!?~ウブな部下は俺様御曹司に溺愛される~
「それでは……」

「あの」

全員が揃ったとばかりに口を開いた初老の弁護士を止めた。

「義姉さんがまだです。
これは兄さんの遺産と、役職に就いていた会社、義姉さんたちの今後の話ですよね?
当事者を抜きにして話をするわけにはいきません」

俺の待ったがかかり、不快感をあらわにしている人たちとほっとしている人たちに別れた。
しかし、安心している彼らが義姉さんたちの味方かといえば、そうではない。
あの人たちが兄を、追い詰めていったのだ。

「では、すぐに満智(みち)様を呼んで……」

「はぁっ」

義姉さんを呼びに行こうとひとりが部屋を出かかったところで俺が無遠慮に大きなため息をつき、その場が固まった。

「先ほど声をかけたら、まだ奏多が寝ていました」

「奏多さんは関係ないでしょ。
満智さんひとりいれば事足ります」

「ではそのあいだ、奏多の面倒を誰が見るんですか」

母は反論してきたが、さらに俺に反論されて口を噤んだ。

「この家の誰かが、面倒を見てくれるんですか?
悪いが俺は、誰も信用できない」

「龍志さん、あなた!」

ヒステリックに声を上げる母を、一瞥だけする。

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