憧れの上司は実は猫かぶり!?~ウブな部下は俺様御曹司に溺愛される~
そのタイミングで湯気の立つカップが目の前に現れ、慌ててしまう。
視線で辿った先には宇佐神課長が立っていた。
「あ、ありがとうございます……」
ありがたく、差し出されているカップを受け取る。
中身は私が疲れたときによく飲む、甘めのカフェラテになっていた。
「KENEEさん、どうだった?」
「作り直してくれるそうです」
「それはよかった」
私の返事を聞き、彼は手にしていたマグカップに口をつけた。
「まあ、こっちのほうが断然いいのは俺もわかるんだけどさ。
そういうわけにもいかないからな」
課長の、眼鏡の奥からの視線は画面に表示されているポスターに注がれている。
私もこれを採用でいいんじゃない?
と思うもの。
しかし会社として仕事をしていれば、それだけでは決められないのだ。
「手間かけさせて悪かったな」
眼鏡の下で目尻を下げ、彼が労うようににっこりと笑う。
それでみるみる顔が熱くなっていった。
「いえ……」
「今回は上手くいったからよかったけど、手に負えないときは遠慮なく言ってくれ。
そのための上司だからな」