憧れの上司は実は猫かぶり!?~ウブな部下は俺様御曹司に溺愛される~
「……はぁーっ」

その姿が見えなくなり、気が抜けたかのようにその場に座り込んだ。

「……相変わらず化け物かよ」

自分の口から嘲笑するような笑いが漏れる。
昔から父が苦手だった。
あのように俺の話などまったく聞いてくれない。
合理的で最善ならば意思や感情など関係ない。
そうやって事業を成功させ、会社を大きくしていったのだから経営者としては優秀なのだろう。
けれど感情など一切見せない父が、俺は恐ろしかった。
もしや同じ人間ではなく、宇宙人なのではと疑ったこともある。
本当にそうならば、だから父はああなのだとどれだけ安心することか。

「やっぱり七星は、連れてこられないな」

ようやく鼓動が落ち着き、立ち上がる。
父はあのような人間なので、接する多くの人間が壊れていった。
秘書も、長続きはしない。
政略結婚だった兄の母親は病気で亡くなったが、最後のほうは様子がおかしかったとも聞いた。
唯一、長続きしているのは母か。
あの人は唯我独尊で自分が一番だから、父がどのような人間でも気にしないのだろう。

七星を嫁として実家に連れてくることも考えなかったわけではない。
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