憧れの上司は実は猫かぶり!?~ウブな部下は俺様御曹司に溺愛される~
「俺はどうすればよかった?
どうすれば兄貴を救えたんだ?
何度考えてもわからないんだ」

慟哭するような彼の声に私もつらくなる。
なにか言わなければ、そう思うがどう慰めていいのかわからない。
いや、そもそも慰めるなどただの気休めで、違う気がする。

「ごめんな、こんな話聞かされても困るよな」

ようやく顔を上げた彼が、力なく笑う。
もっと、もっと龍志に寄り添いたい。
彼の力になりたい。
けれど、残された時間は、あまりにも少なかった。

「龍志」

なにもできなくてただ、心細そうに震える彼の身体を抱きしめた。

「きっとこんなときは、お兄さんは龍志に救ってほしいとか思ってなかったよ、とか気休めを言うものなんだと思います。
でも、それは龍志が気が楽になったフリをするだけで、まったく解決になってないどころかさらに龍志を追い詰めるんだと私は思うので言いません」

腕の中の彼はなにも言わないので、さらに先を続ける。

「もしかしたらお兄さんは龍志を恨んでいるかもしれない。
罪滅ぼしで義姉さんたちを守ろうとするのも偽善と思っているかもしれない。
でも」

一度、言葉を切って龍志を抱きしめ直す。

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