憧れの上司は実は猫かぶり!?~ウブな部下は俺様御曹司に溺愛される~
「生きている私たちは後悔をしながら生きていくしかないんです。
生きて、少しでもいい方向に進めるように頑張るしかないんです。
きっと、龍志が龍志なりにお兄さんを思いやっていたのは、わかってくれていますよ」

きっと彼はこの先、この後悔を抱いたまま生きていくのだろう。
それを、一緒に背をえないのがこんなにも……つらい。

「……そうだな」

身体を離し、私の顔を見て笑った彼の目には、涙が光っていた。

「俺は今、できることを精一杯やるしかない。
間違っても、前を見て生きていくしかない。
だいたい、兄貴を救うって何様だよ。
兄貴だって救ってほしいとか思ってなかったかもしれないのに」

「そうですよ」

「なんか、吹っ切れた。
やっぱり七星は俺の、最高の妻だな」

「えっ、やめてくださいよ!」

嬉しそうに笑いながら、龍志が私の髪を撫で回してくる。
それに嬉しくなりながら、この先きっと厳しい道を歩く彼を支えられないのが、どこまでも悲しかった。

早めに夕食を済ませ、一緒にお風呂に入る。

「あんなに恥ずかしがって頑なに拒否してたのに、どういう風の吹き回しだ?」

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