憧れの上司は実は猫かぶり!?~ウブな部下は俺様御曹司に溺愛される~
けれど今日、彼の弱音を聞いて普通の家ではないのだと痛感した。
きっと彼の意思を力尽くで曲げてくる人たちの中で、真っ直ぐに立っていかねばならない。
そんな苦境に彼をひとり、立たせるのは叫び出しそうなほどつらかったし、支えられない自分がどこまでも嫌だった。

「だから私、宇佐神家に乗り込もうと思うんですよね」

そのためにはいろいろ、準備をしなければいけないのはわかっている。
本当は別れがくる一年後までに準備を整えるつもりだった。
それがこんなに早くなってしまい、まだ具体的になにをしたらいいのかすらわかっていなかった。

「きっと反対されるだろうし、言いません。
私が絶対に龍志を、家から自由にします。
だって龍志、メイクするときとっても楽しそうですもん。
ずっとあんな顔、してないとダメですよ」

彼のつらそうな、無理をしている顔なんて見たくない。
いつも傲慢に俺様でいてほしい。
だから私は、私にできることを精一杯、頑張るのだ。

「なので少しだけ、待っていてくださいね」

彼の身体に身を寄せて、目を閉じる。
温かい、彼の体温が心地いい。
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