憧れの上司は実は猫かぶり!?~ウブな部下は俺様御曹司に溺愛される~
私の朝ごはんなんてヨーグルトをかけたシリアルとコーヒーだし、実家もやはりそんな感じだった気がする。
いっておくが母はお弁当作りが忙しくて朝食作りにまで手が回らなかっただけだ。
反対に毎日、立派なお弁当を持たせてくれていた母には感謝している。

「そうか?
俺はいつも、こんな感じだけど」

「へー……」

これが当たり前という感じの彼を見て、微妙に笑顔が引き攣った。
昨日の晩ごはんといい、自分は料理ができるアピールですか?
すみませんね、料理が苦手で。

「切り干し大根は作り置きだし、味噌汁も出汁は顆粒出汁だしな。
そんなに手間はかかってないぞ」

「へー……」

促されて箸を取る。
素材には拘り、化学調味料は使いません!とかいう意識高い系ではないのには安心したが、そういういわゆる〝普通の〟料理ができる彼に軽くコンプレックスを抱いてしまった。

「食ったら買い物行くぞ」

「へ?」

食べながら自然に宣言され、変な声が出る。

「えっと。
宇佐神課長と一緒に、ですか?」

「食材、もうほとんどないんだ。
買い出しに行かないと」

さも当然というふうに言い、彼は味噌汁を啜った。

< 52 / 414 >

この作品をシェア

pagetop