憧れの上司は実は猫かぶり!?~ウブな部下は俺様御曹司に溺愛される~
車には乗ったが兄は出さずに私が行き先を決めるのを待っている。

「ありがとう、お兄ちゃん」

携帯を手に取り、笹西さんに今日の都合はどうかと聞く。
すぐに二時間後、事務所でどうかと返ってきた。
兄の了承を確認し、承知したと返事をする。

「じゃー、どっかでメシ食っていくか」

行き先が決まり、兄は車を出した。

途中、適当によさそうなお店で昼食を摂る。

「とりあえず。
おめでとう」

「ありがとう」

兄が改まって頭を下げ、私も下げ返す。

「アイツともう結婚してるとか、せめて結婚が決まってるとかなら、素直に祝福できたんだけどな……」

はぁーっとため息をつき、兄はお冷やを飲んだ。

「……ごめん」

「いや、いい。
で、ナナはその子を産むのか」

じっと兄が私を見つめる。
その目はどこまでも真剣だった。

「産む。
それ以外に選択しとかないし」

龍志と私の愛の結晶。
堕ろすなんて選択肢はどこにも、ない。

「ひとりで育てることになったらきっと大変だろうけど。
幸いなのかお金だけは心配しなくていいからね」

強がって笑ってみせる。
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