憧れの上司は実は猫かぶり!?~ウブな部下は俺様御曹司に溺愛される~
実際、龍志が私に残してくれたお金や株からの収入は、働かなくてもやっていけるくらいあった。
たぶん、こういう事態も見越して残してくれたのだろう。

「まあ、オレも手伝えるところは手伝うけどな」

私の決心が固いとわかったのか、兄は笑って言ってきた。

「でも、父さんと母さんにはなんて報告するんだ?」

「うっ」

それにはなんと答えていいかわからず、だらだらと汗を掻く。

「と、とりあえず、龍志の件が片付いてから報告……する」

「それがいいよな。
そのためにも頑張って、アイツを取り戻さないとな」

にかっと兄が笑い、嬉しくなった。

食事のあと、笹西さんの事務所へと向かう。

「身体、大丈夫?
暑いとか寒いとか、ない?
あ、これ、事務員のだけどよければ」

着いた途端に笹西さんは私を気遣ってくれ、椅子に座ったときには膝掛けまでかけてくれた。
さらに目の前に置かれたのは買ってきたのか、麦茶だった。

「いろいろすみません……」

ここまでしてくれるなんて、恐縮してしまう。

「いいよ。
大事な身体なんだし」

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