憧れの上司は実は猫かぶり!?~ウブな部下は俺様御曹司に溺愛される~
「それはそうなんですが。
でも、毎日食事を作ってくれるとか、そこまでしていただくわけには……」

課長が私の食生活を心配してくれているのはわかる。
しかし、私はただの部下なのだ。

「言っただろ?
俺は料理を作るのが好きで、誰かに食べさせるのが好きだって」

「はぁ……」

確かに昨日、そんなことを言っていたような。
けれどやはり、毎日はやりすぎだと思う。

「あと、俺は本気で七星を落とす気だからな。
まずは胃袋を掴む」

意味深に彼が片目をつぶってみせる。
それを見てボッと顔が熱くなった。

「えっ、あの。
前に彼女になったら宇佐神課長の女性関係を喋らないとかなんとか言ってましたけど、別に誰かに話したりしませんが……」

私に人の秘密を会社でべらべら喋ってまわるような趣味はない。
だから課長の心配は杞憂なのだ。

「ん?
それはここしばらくの七星を見ていたらわかってるが」

ならなんで、この人は私を本気で落とそうなんて考えているんだろう?
「なんか会社ではみんなに頼られるできる女って感じなのに、実際は恋もまだな純情処女とかギャップが」

くすくすとおかしそうに笑われ、羞恥でほのかに顔が熱を持っていく。

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