憧れの上司は実は猫かぶり!?~ウブな部下は俺様御曹司に溺愛される~
「……そんなに笑わなくても」

「わるい、わるい」

小さく咳払いし、課長はその場を仕切り直した。

「俺はそういう七星が可愛くて、俺のものにしたくなったの。
だから目一杯お世話して可愛がるから覚悟しろ」

レンズの向こうから課長がじっと私の目を見つめる。
少し細められた目は艶やかに光っていて視線は逸らせない。
どくん、どくんと心臓が自己主張を繰り返す。
彼の手が伸びてきて、そっと私の頬に触れた。

「……ついてた」

口端についていたであろうご飯粒を摘まみ、課長の手が離れる。
見せつけるようにそれを、彼は口に入れた。

「えっ、あっ、はあぁぁぁぁぁーっ」

いっぱいいっぱいになった私はその場にへたり込んでいた。



その後は宇佐神課長に買い物へ連れていかれた。
車を出してくれ、少し遠くの大型ディスカウントスーパーに連れてきてくれたのは大変助かるので、そこは感謝しておこう。

「で。
七星の好きな料理ってなに?
サーモンの寿司は聞いたけど」

さりげなくカートを押し、宇佐神課長が先導するように店内を歩く。

「……絶対に笑わないって約束してくれます?」

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