憧れの上司は実は猫かぶり!?~ウブな部下は俺様御曹司に溺愛される~
「そのうえ、妊娠させられたからって結婚を迫る?
もう呆れてものも言えないわ」

滔々とまるで頭の悪い下層の人間に言って聞かせるように母親は話し続ける。

「これだから下賤の人間は。
だいたい、そこは妊娠させてくださってありがとうございますって感謝するところでしょう?」

「は?」

場所をわきまえず、変な声が出た。
きっと今の私は、いわゆるチベスナ顔をしているだろう。
それくらい母親の主張が理解できず、世の中こんなおかしな人もいるんだ、この人にはなにを話しても無駄だなと虚無の境地になっていた。

「産んだあとを不安に思っているんでしょうが、安心なさい。
生まれた子はこちらで引き取って、立派な宇佐神家の跡取りとして育ててあげます。
あなたはひとりになって、どこぞの穢らわしい男とでも結婚すればいいわ」

話には聞いていたが、実際に目の当たりにすると龍志の苦労が忍ばれた。
この母親はダメだ、まるで宇宙人かなにかと話している気になってくる。
こんな人間と高校を卒業するまで付き合ってきた龍志を尊敬した。

いつの間にかテーブルの上には書類がいくつも並べられていた。
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