憧れの上司は実は猫かぶり!?~ウブな部下は俺様御曹司に溺愛される~
私たちに車で待っているようお願いし、龍志はどこかへ行ってしまった。

「よかったね、龍志を取り戻せて」

「ありがとうございます、笹西さんのおかげです」

いろいろ彼が手を打ってくれなければ、きっとここまで上手くいかなかった。

「僕だけの力じゃないよ。
七星さんもいろいろ証言を集めて頑張ったからだ」

そう言ってもらえると、自分も役に立ったんだなと嬉しくなる。

「それにしてもあの母親、腹立つな!
七星をぶとうとして!」

兄は本当に怒っている。
あのとき、兄がきっと庇ってくれるという確証があったから、動揺せずに座っていられた。
結果としては龍志が止めてくれたが。

少しして、龍志がスーツケースを引いてやってきた。

「荷物、それだけか」

「はい。
ほとんど七星さんとの部屋に置いてきたので」

兄が荷物を受け取り、車に載せる。
龍志も乗り込み、車は走り出した。

「本当に俺を奪い返しに来てくれるとは思わなかった。
ありがとう、七星」

後部座席で並んで座る私の手を、龍志がぎゅっと握る。
それでようやく、彼が私の元に帰ってきたのだと実感が持てた。

「こ、怖かったー……」

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