憧れの上司は実は猫かぶり!?~ウブな部下は俺様御曹司に溺愛される~
「レジデンスはしばらく閉めっぱなしだし、マンションのほうで」

「了解」

兄がハンドルを切り、私は戸惑っている龍志に説明した。

「レジデンスは龍志とふたり……もう三人だけど、とにかく龍志と暮らすための家だから。
封印してあるんです」

恥ずかしくて笑って誤魔化したが。

「七星!」

いきなり、彼から抱きしめられた。

「そこまで俺が帰ってくるって信じていてくれたんだな」

「あ、当たり前じゃないですか」

ひさしぶりに感じる、彼の温もり。
徐々に涙が溜まってくる。
しかし。

「なー、そういうのはふたりっきりのときにやってくんない?」

兄に注意され、ふたりとも赤い顔で離れた。

「お兄ちゃん。
今日はありがとう」

「お兄さん、ありがとうございます」

マンション前で車を降り、兄に頭を下げる。

「おー。
兄ちゃんはナナのためならなんだってするから気にするな。
オマエは高級焼き肉、十回な」

「了解です」

びしっと兄が龍志を指し、笑っていた。

ふたりで過ごしたあの部屋へ、やっと龍志と一緒に帰ってくる。

「待って」

部屋に上がろうとしていた彼を止める。
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