憧れの上司は実は猫かぶり!?~ウブな部下は俺様御曹司に溺愛される~
「そうだな、しばらくはのんびりするかな。
七星のフォローもしたいし、生まれたら子育てもしないとだろ?」

「それで龍志はいいんですか」

レンズ越しにじっと彼の瞳を見つめる。
妊娠中の私を助け、子育てをしてくれるのは嬉しい。
けれど働いているときの彼は生き生きとしていたし、このまま家庭に入るとか後悔しないのだろうか。

「んー。
実は、さ」

彼はなぜか、いたずらっぽく笑った。

「ツテを頼ってメイクアップアーティストに弟子入りしようかと思ってる。
でもあの仕事は時間が不規則だろ?
だから子育てが落ち着いてからかなーって」

自分の好きなことに向かっていこうとする彼は素敵だ。
けれど、甘い。

「龍志」

彼の頬を両手で挟み、目をあわせる。

「子育てが落ち着いたらって、いつですか?
この子が生まれて幼稚園に通い出し、やっと少し手が空いたなと思ったら、二人目が生まれている可能性もあるんですよ?」

「なんだ七星、二人目も産んでくれるのか?」

右の口端を持ち上げて彼がにやりと笑い、私の頬が熱を持っていく。

「えっ、あっ、それは、……まあ」

「冗談だ」

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