憧れの上司は実は猫かぶり!?~ウブな部下は俺様御曹司に溺愛される~
キッチンに立った課長はあたりを見渡し、目についた電気ケトルでお湯を沸かし始めた。

「しばらくは不自由だろうけど、外出は俺と一緒な。
仕事の外回りもなんかあるとあれだし、考える。
あとは月曜、どうにか都合をつけるから警察に行こう」

私が思いのほか危険な状況だと思ったのか、矢継ぎ早に課長が提案してくれる。

「ご迷惑をおかけします」

それに精一杯の気持ちで頭を下げた。

「だから。
悪いのはあの男であって、七星じゃないだろ?
それに俺の部下に手を出すヤツは許さないし、それが俺の七星なら酷い目に遭わせてやる」

え、今、〝俺の七星〟とか言いましたか?

「あっ、その、まだ私は宇佐神課長のものではないので……」

指摘しながらなぜか気恥ずかしくて頬が熱い。

「ん?
俺が俺のものにするって決めたから、七星はもう俺のものなの」

右の口端をつり上げて課長がにやりと笑う。
まあ、俺様宇佐神様だから仕方ない……。

勝手に開けて悪いなと課長は私が買ったスティックのカフェオレを入れてくれた。

「いえ、ありがとうございます」

優しい甘さが私を癒やしていく。
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