憧れの上司は実は猫かぶり!?~ウブな部下は俺様御曹司に溺愛される~
「えっ、あっ、……なんでもない、……デス」

暇だったからって、恥ずかしすぎる。
おかげで語尾はぎこちなくなって消えていった。

「まあ俺は、七星はつむじも可愛いなと思って見てたけど」

妙なことを告げられ、おかげで顔がぼっと火を噴く。
というか、人のこと観察していたのは私だけじゃないじゃない!
おあいこだ、おあいこ。

そうこうしているうちに降りる駅に着いた。
駅を出ながらぴたりと身体を宇佐神課長につけ、あたりをうかがう。
そんな私の不安に気づいたのか、課長はぐいっと腰を抱いてきた。
――さらに。

「七星」

呼ばれて、足を止める。
顔を見上げると課長は私の額に、これ見よがしに口づけを落とした。

「えっ、あっ、その」

「魔除け」

右の口端をつり上げ、彼がにやりと笑う。
言いたいことはわかる、こうやって恋人がいると見せつければ諦めないかというのだろう。

「ストーカーが激高して刺されたらどうするんですか」

こそこそと話しながらマンションへの道を急ぐ。
今日も後ろから、ねっとりとした視線が追ってきた。

「んー?
七星を庇って刺されたら本望?」

< 70 / 414 >

この作品をシェア

pagetop