憧れの上司は実は猫かぶり!?~ウブな部下は俺様御曹司に溺愛される~
つい、その手に視線が向く。

「ああ。
高さがあわないんだ。
つり革掴んでると腕が疲れる。
こっちのほうが楽」

高さがあわない以上にあんなところに手が届く人がいるなんて思わなかった。
宇佐神課長、背が高いもんね。

疲れている人ばかりだからあまり話をするわけにもいかず、黙って電車に揺られる。
おかげで無駄に、すぐ目の前にある宇佐神課長の顔を観察する時間ができてしまった。
お肌がつるつるでこんな時間なのに髭の気配がないのは、もしかしたら脱毛しているのかもしれない。
兄なんか、毎日髭を剃るのが面倒臭いとかこぼしているくらいだもんね。
あ、顎にほくろ。
下というか首近くのほうにあるから前からだとわかりづらいけれど、こうやって見上げるとわかる。
ネクタイのブランドはどこなんだろう?
今日はシャドーストライプの濃紺スーツに臙脂のネクタイがよく映えている。
ブランドといえば眼鏡は?
まさか、この上等紳士に見える課長が、ファストの眼鏡ショップじゃないよね?
なんかこだわりのブランド品っぽい。

「なんかついてるか?」

あまりに私がじろじろと見ていたのか、怪訝そうに課長が聞いてきた。

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