憧れの上司は実は猫かぶり!?~ウブな部下は俺様御曹司に溺愛される~
なぜなら、あとをつけられたりし始めたのがその頃だからだ。
しかし、なにを持って彼が私と付き合っていると勘違いしているのかはまったくわからない。

「そうなのか?」

やはりぶんぶんと首を横に振って課長に答える。

「やっぱり違うって言ってるけど?」

「嘘を言うな!
あの日、にっこり笑ってオレに手を差し出してくれたじゃないか!」

そう言われてもその出来事にはやはり心当たりがない。
それにあったとしても、にっこり笑って手を差し出しただけで付き合っているとは、理論が飛躍しすぎている。

「あれからオレはオマエを見守ってきたのに、オマエは他の男を作って引っ越しはするわ、しかも引っ越し先で今度はこんな軽そうな男を咥え込んで!」

びしっと男が宇佐神課長を指す。
しかし課長はビビるどころか俺?と自分を指し、愉しそうににやにや笑っている。

「顔がいいだけで女を取っ替え引っ替え!
七星、オマエ、騙されてるんだよ!」

ストーカーを擁護する気はまったくないが、そのあたりは半分くらい同意なだけに微妙な気分になった。
私だって友達が宇佐神課長と付き合っていると知れば、男と同じ忠告をしただろう。

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