憧れの上司は実は猫かぶり!?~ウブな部下は俺様御曹司に溺愛される~
よく知っているって……知っているな。
課長の部屋に泊まったあの日、エステからマッサージのコースで寝落ちていた。

「ううっ。
確かに宇佐神課長のエステとマッサージは気持ちよすぎて、寝落ち必須です……」

「だろ、だろ」

満足げに課長が頷く。
けれど男は納得していないらしく、俯いて硬く握った拳をぶるぶると震わせていた。

「マッサージってどうせ、性感マッサージだろ!」

顔を上げた男がキッと私を、憎しみを込めて睨みつける。

「いえ、服は一切、脱がされませんでしたが?
変なところも触られませんでしたし」

なので不覚にも、本当にリラックスしてしまったのだ。

「ああもう!」

自分の主張が通らないからか、男はフードの中に手を突っ込み、髪を激しく掻き毟り始めた。

「別にオマエがどんな男と付き合ってようが関係ない。
それよりも、恋人であるオレを裏切った罪、償え!」

背後にまわった手が、こちらへと突き出される。
その手には大きなナイフが握られていた。

「七星!」

叫ぶように課長が私の名を呼ぶ。
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