憧れの上司は実は猫かぶり!?~ウブな部下は俺様御曹司に溺愛される~
つい先日、警察に捕まって被害者に近寄らないように誓わされたにもかかわらず、執拗につきまとって殺した事件があった。
宇佐神課長の心配はもっともだ。

「まあ、それでもとりあえずは一安心ってことで。
ほら、早く寝るぞ。
今日も仕事だしな」

時刻はもう、朝といっていい時間になっている。
こんな時間まで本当に申し訳ない。

「本当にすみません……」

「だから。
七星は謝んなくていいの」

マンションに帰り着き、部屋の鍵を開ける。

「でも……」

「でもじゃない」

宇佐神課長は私の手を掴み、なぜか私の部屋へと入ってきた。

「七星が無事ってだけで十分」

ぎゅっと彼が、私を抱きしめてくる。

「もしあのとき七星が刺されていたら、俺はアイツを殺していたかもしれない」

「え?」

驚いてその顔を見上げていた。
レンズの向こうで課長の目が、苦しげに歪む。

「とにかく。
七星が無事で本当によかった」

そっと彼の手が、私の頬に触れる。
ゆっくりと顔が傾きながら近づいてきて、唇が重なって離れた。

「おやすみ、七星」

するりと私の頬を撫で、課長が離れる。

「……おやすみなさい」

「ん」
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