憧れの上司は実は猫かぶり!?~ウブな部下は俺様御曹司に溺愛される~
誰から見ても彼女はいわゆる〝できる女〟だったし、社内のファンあいだではそんな彼女を屈服させたい勢と、弄ばれたい勢に別れていた。

俺はといえば彼女を都合のいい……げふんげふん。
頼りがいのある部下としか見ておらず、さりげなくおだてて仕事を押しつけ……お願いするだけだった。

それが変わったのはあの日、隣に越してきた七星が俺の生活にケチをつけてきた日だ。
商品研究に余念がない俺はよく実験材料に女性を連れ込んでいたが、それがふしだらだと言われた。
まあ、別に七星が誤解していたところでなんの問題もないし、適当にあしらって面白半分に迫ってみたのだが。

『ごめんなさい、ごめんなさい。
私が悪かったです』
腰が抜けたように座り込み、子うさぎみたいに怯えている彼女を見てなにか新たな扉が開いたというか。
さらに恋の百戦錬磨みたいな顔をしていて、初恋も知らない処女とか面白すぎるだろ!

そんなわけで俺は、七星をしばらくからかって遊ぼうと決めた。
――そう。
遊ぶはずだったのだ。
とある理由により、恋人を作る気はない。
一夜限りの関係も万が一、子供ができたときに面倒になるのでそれを考えたら億劫だった。
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