憧れの上司は実は猫かぶり!?~ウブな部下は俺様御曹司に溺愛される~
もし俺がストーカーに刺されて死んだら泣くと七星に言わせたくて直前まで躍起になっていたが、現実にならなくてよかった。
もしそうなっていたら責任感の強い七星のことだ、これ以上ないほど自分を責めていただろう。

少しして落ち着き、シャワーを浴びる。

「いてっ」

頬の傷にお湯がしみる。
鏡で見てみたらけっこうな傷になっていた。
深くはないが長いので明日、一応病院で診てもらうべきか。

雑に髪を乾かして米を研ぐ。
七星には悪いが、明日……もう今日か。
朝メシはおにぎりと味噌汁で許してもらおう。
もっとも、七星はあまり朝食を食べないのでこれくらいでちょうどいいのかもしれない。

「寝る前に、と」

ベッドに座り、携帯の画面に指を走らせる。
こんな時間にメッセージを送ったら、アイツは嫌な顔をするだろう。
しかし、少しでも早く手を打っておきたい。

「よしっ、と」

メッセージを送り終わり、いつも起きる時間までもう二時間ほどしかないのでベッドに入る。
が、興奮しているのかまったく寝付けない。

「あー」

寝返りを打ち、そっと壁に触れる。
この壁の向こうで七星が眠っているはずだ。
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