憧れの上司は実は猫かぶり!?~ウブな部下は俺様御曹司に溺愛される~
美化が過ぎる私像と、目があったのにすぐ逸らしたのは恥ずかしかったからだよね?などと相手の妄想を便せんにびっしりと書かれても気持ち悪いだけだ。

「……はぁーっ」

もうこのところ、癖になってしまっているため息をついて段ボールを組み立てる。
そんな具合なので近いうちにここを引き払う予定になっていた。
駅もコンビニも近く、少し歩けばまとめ買いに便利な大型スーパーもあって便利なところだっただけに、こんなことで引っ越しなんて残念だ。
あと、余計な出費も腹立たしい。

「まあ、あとちょっとの我慢だし」

嫌々だから荷造りする手は遅いが、もう引っ越しは今週末に迫っている。
早くやってしまわねば。



「……はぁーっ」

「どうした?」

そんな具合なので仕事中にもついため息をついてしまい、ちょうど通りかかった宇佐神課長から心配そうに顔をのぞき込まれた。

「えっ、あっ。
なんでもない、です」

内心焦りつつ、笑って誤魔化す。

「そうか?
ならいいけど。
でも、なんかあったら相談しろ?
仕事のことでもプライベートでも」

「はい、そのときはよろしくお願いします」

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