憧れの上司は実は猫かぶり!?~ウブな部下は俺様御曹司に溺愛される~
なんだって察してほしいと思った私は悪くないはずだ。

「あー、えっと。
……その。
彼女さん、……とか」

しかし言わなければきっと話は進まないし、それどころか宇佐神課長の機嫌が悪くなる可能性もある。
当たり障りのない言葉を選び、察してくれとちらちらと意味ありげな視線を彼に送った。

「俺の彼女は七星だが?」

さも意外そうに課長が、眼鏡の向こうで大きく一回、瞬きをする。

「は?」

それを見て今度は、私の頭の上に大きなクエスチョンマークが浮かび、同じように一回、瞬きをしていた。

「ええーっと。
私は宇佐神課長の彼女になった記憶はないですが?」

「ん?
七星は俺のものなんだから、俺の彼女だろ」

そういえば俺のものにするって決めたから、もう私は課長のものだと言っていたような。

「私は宇佐神課長のものになった記憶もないですが……?」

「俺が俺のものと決めたものは俺のものなの。
だから、七星は俺のもの」

にかっと課長が白い歯を見せて笑う。
それはとても眩しいけれど、その俺様思考はいったいなんだ?
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