秘密のカーテンコール〜人気舞台俳優の溺愛〜

プロローグ

繁華街から一本奥まった通りは人気が少なく、ひっそりと落ち着いている。
その店の看板は、地上には特に出ていない。狭くて細い階段を降りて地下一階に辿り着くと、その木の扉は現れる。
まるで童話の中に出てくるような、奥深い森の中の家を思わせるような扉。そこにようやく店の名前が書かれている。

――Well−Made “ウェルメイド”

叔父の経営しているこのバーで、私は週に何度かアルバイトをしていた。

正式な出勤日は決まっていない。
元々長く勤めている男の子がいて、その子が出られないときだけ私にお呼びがかかるから。

だからあの日、私がお店にいたのは神様の――――――そう、舞台の神様のお導きなのかもしれない。
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