子猫令嬢は婚約破棄されて、獅子となる
 リディは心の中でそう言うと、一つため息を吐いて目を閉じる。
 そうして自分の中で覚悟を決めた彼女は、目を開いて顔をあげた。

(ミカエラ殿下、このお話をする時が来てしまったのですね……)

 リディは椅子から立ち上がり、ゆっくりと壇上へ向かう。
 ミカエラの顔は満足そうな顔をしており、その隣に立っているルルアもほくそ笑んでいた。

「なんだ、言いたいことでもあるのか? 言えるわけないよな? 『子猫令嬢』リディのお前が」

 ミカエラの高笑いが講堂内に響き渡った。
 しかし、彼の嘲笑に動じることなく、リディは告げる。

「ミカエラ殿下、あなたにとって私では不足だったのかもしれませんね」
「そうだな、この高貴で勇猛果敢な『獅子』の私にお前では釣り合わなかったようだ。同じ『獅子』でもお前ではなく、ここにいるルルアの方がよほど未来の妃として才がある」

 ミカエラの言葉にルルアが口元をおさえて、瞬きを一つした。
 
(ルルア様、口元をおさえているけれど、笑っているわね)

 リディは内心そう思った。
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