同期の姫は、あなどれない
 「あぁー面白かった!」

 映画は3時間近くあったはずだけれど、観終わるとあっという間だった。

 エンドクレジット後の余韻に浸りながら、私は思いっきり体を伸ばす。
 姫が立ち上がって電気を付けると一気に明るくなって、即席の映画館からいつもの姫の部屋へと戻った。

 「姫は大丈夫だった?途中よく分からなかったんじゃない?」

 「だいたいの雰囲気で察した。ただラストは予想外っていうか、衝撃だったけど」

 またソファーの隣りに戻ってきた姫が、残ったグラスの中身を傾ける。

 「うん、でもシリーズの終わりとしてはこれしかなかったっていうか、綺麗な終わり方かなって思う。また一番初めから観たくなっちゃった」

 「俺も気になってきたし今度観直す?これ何作あるんだっけ」

 「全部で5作だけど、このシリーズとは別に各キャラクターがメインの映画もあるから、それも入れると3倍くらい?もっとかな」

 「週1で観たとして3ヶ月以上かかるのか…当分飽きないな」

 姫は笑って立ち上がるとキッチンの冷蔵庫を開けて、ポップコーンだけだとさすがに腹減らない?と尋ねてくる。
 もうお昼の時間はかなり過ぎていて、確かにお腹が空いてきた。

 「パスタとかならすぐできそうだけど。ナポリタンとか好き?」

 「うん、大好き!」

 「じゃあ決定。あとはサラダ…あ、レタスがないか」

 私も後ろから冷蔵庫を覗くとキャベツと人参がある。マヨネーズもあるし、これならコールスローサラダなら作れそう。私の提案は採用されて、私はサラダ、姫はナポリタンと分担することになった。

 「ねえ、棚にあったガラスの器、サラダ用に使ってもいい?」

 「あの青いやつ?いいよ。そういえば、2丁目に食器とか雑貨のセレクトショップができるらしい」

 「本当?2丁目ってことはパン屋さんの近く?」

 お互いの最寄駅周辺の地理も覚えてきて、部屋にあるものの場所も把握してきて、細かく言わなくてもあそことかそれとか、指示語で通じることが増えてきた。

 「そう、あそこの角を路地に入ったところ。オープンしたら行ってみる?」

 「うん行ってみたい」

 こうして取り留めもなく話しているうちに、会話があちらこちらに飛んで逸れていくことも珍しくない。
 それでもただ話をしていることが楽しくて、こういう何気ない時間が私はすごく好きだった。

 
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