【2/16 番外編追加】同期の姫は、あなどれない
 「災難だな、保守もトラブルだったんだろ」

 「知ってるんだ」

 「四宮さんから聞いた。あそこ常駐ジョブ多いから1つコケると影響でかいよな」

 今私が担当している某飲料メーカーのシステムは、姫が去年携わっていたプロジェクトだ。
 システムが稼働したあと、私たち第三課のメンバーが引き継ぎを受けて、保守業務を担当している。だから姫はシステムの内情にも詳しい。

 「うん、製造指示と発注全般が止まっちゃって。リカバリーが大変だった」

 「得意先からの受注は?」

 「そっちは別階層で組んでたから影響なくて、不幸中の幸い」

 「へえ、当時の設計者に感謝だな」

 素知らぬ顔で(うそぶ)く姫に、私は思わず笑ってしまいそうなる。
 ジョブ設計はインフラチームが主体でおこなっていたから『当時の設計者(イコール)姫自身』のことだ。

 「それって自分のことじゃない」

 私の指摘に、姫は少し柔らかい表情でフッと笑う。
 いつも無表情な姫に見慣れているせいか、不意打ちの笑顔に少しドキリとした。

 (今みたいな表情をもっと見せればいいのに。もったいない)

 
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