同期の姫は、あなどれない
 グラスのミモザで喉を潤すと、少しだけ緊張が和らぐ。
 顔を上げると、姫が少し困ったような、はにかんだような笑顔で見下ろしている。

 「というわけで…一緒に会ってくれる?」

 少しだけ首を傾げてそう聞いてくる彼に、私が持っている答えは一つだった。

 「うん、もちろん」

 差し出しされた手に、自分の手を重ねる。


 歩き出してからすぐに、姫の足が止まる。
 少し先を歩いていた悟さんの背中は、どんどん遠くなっていく。

 どうしたのかと軽く手を引くと、ゆっくりと振り向いた姫の顔が近付いた。

 思わず目を瞑ると、耳元に軽く唇が掠める。


 「愛してる」


 それは、2人にしか聞こえないほどの声。



 初めて、言われた。
 顔を赤くしたまま言葉を失った私を満足そうに見つめる顔は、罪深いほど綺麗だった。

 再び前を向いて歩きだした姫に引っ張られるように歩き出した私は、小走りで隣りに追いつく。

 「顔、真っ赤」

 「……こんな顔で会えないんですけどっ、、」

 「ミモザに酔ったことにすればいい」

 「~~~もう!!」


 こうやって赤くさせられながら、翻弄されながら、私はこれからもずっと姫と一緒にいるのだろうと思う。

 私の幸せは、姫の隣りにしかないのだから。


 そんなことを思いながら、私は繋いだ手を強く強く握り返した。



 Fin.




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