【2/16 番外編追加】同期の姫は、あなどれない
そうして二週間後、同期会の当日。

数年ぶりに同期会に姫が顔を出したことで、予想通りざわついた。聞けば、参加の連絡を受けても幹事は本当に来るのか半信半疑だったらしい。その雰囲気に少しハラハラしたけれど、その後は意外と自然に溶け込んでいって、ほっとしたのと同時に嬉しかった。

―――それがどうして、こうなってしまったのか。

たぶんきっかけは、営業部の市川さん、という女の子が、姫の隣りにやって来て話しかけているのを見たとき。

市川さんのことは嫌いじゃないし、話すのも全然問題じゃない。
けれど、微妙な距離の近さとか上目遣いとか、さりげないスキンシップとか。それらがどうにもあざとく見えてしまったのは、たぶん私の心が曇っているから。

仕事や海外にいたころの話を聞き出して、話題を広げるのが上手くて、二人を中心に盛り上がっていることにもやもやしたのは、私の心が歪んでいるから。もやもやというか、嫉妬だ。

前みたいに隅の席じゃなくて、みんなの中心にいてほしかった。
飲み会の雰囲気とお酒で緩んで、笑うところが見たかった。

姫の良さをみんなに知ってほしいなんて思っていたくせに、今はそんな過去の自分のおめでたさを笑いたくなる。

(……誘わなければよかったな、なんて)

自分がこんなにも心が狭いなんて思わなかった。

いっそ会話の輪の中に入ってしまえばよかったのに、それもできずに一番遠い席まで移動してきた。

それでもどうしても視界には入ってしまうけれど、声はあまり聞こえないことにほっとして、残ったグラスの中身を飲み干す。なんととなく部屋全体をぼんやり眺めていると、正面に誰かが立った気配がした。

顔を上げると、パッケージ開発部の(たつみ)くんだった。

「早瀬じゃん。グラス空だけど、なんか頼む?」

「ありがとう……じゃあウーロン茶お願いしてもいい?」

「了解。店員さんつかまえてくるわ」

巽くんが注文をしてくれている間に、目の前の空になった大皿を片付けたり余った料理を小皿によけたりしていると、戻ってきた巽くんが私の隣りに座った。
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