【2/16 番外編追加】同期の姫は、あなどれない
同期会が終わって、帰宅組と二次会へ行くグループとがだいたい半分ぐらいに分かれた。

私はもう精神的にも疲れていて、帰宅組に混ざって駅へと向かっていたのだけれど、私とは帰る方向が違うはずの姫も一緒なことに気がつく。不思議に思いつつも、巽くんも一緒なこともあって迂闊に声をかけることはできず、少し距離を取ったまま電車に乗った。

一緒だったメンバーも途中の駅で降りながら減っていって、次の乗換駅に着いたときには、私と姫と巽くんの三人だけになっていた。

「巽くんはどっち?」

「俺はここから地下鉄。あれ、姫元も中央線?」

「いや。普段は違うけど明日朝からデータセンターで作業があるから、知り合いの家に泊めてもらうつもり」

「うちのデータセンターがあるのって立川だっけ?なら確かに中央線だな」

じゃあまた明日、と別れようとしたとき「早瀬」と呼び止められる。振り向くと、巽くんが軽く手招きしていた。なんだろうと思って駆け寄ると、巽くんが耳元で顔を寄せる。

「よかったじゃん。頑張れよ?」

「……っ!?た、巽くん…!」

「じゃあなー」

これからことあるごとに、巽くんには誤解されたまま声をかけられるのだろうか。ひらひらと手を振って地下への階段を下りていく後ろ姿を見送りながら、ちょっと気が滅入る。

私は熱を持った顔を冷まそうと、少しゆっくりと姫のほうへと戻った。
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