【2/16 番外編追加】同期の姫は、あなどれない
「……なんだって?」

「え?ううん、大したことじゃないよ」

もともと、今のプロジェクトが終わるまで二人の関係を黙っていようと提案したのは私だった。それなのに『私の態度で自分の気持ちがバレました』とは言いづらい。
私が口ごもっていると、姫の眉がひそめられて、明らかに不機嫌になった。

「顔、赤い」

するっと冷ましきれていない頬を指がなぞる。

「それは、ちょっといつもより飲んだから」

「嘘つけ。後半ほとんどウーロン茶だっただろ」

なんで知ってるの、という言葉は、首元に姫の顔が近づいたことで引っ込んだ。

「ひ、姫っ…、」

ここは駅の乗り換え口。人通りもそれなりにある。
私は姫の肩を押し返そうとするけれどびくともしない。

「随分と楽しそうに見えたけど」

「それって、巽くんのこと?別にたまたま隣りになって話しただけで、」

「香水の匂いが移るくらい?」

どんどん逃げ道が塞がれていくようで、私は言葉に詰まる。

「……姫だって、市川さんと楽しそうだったじゃない」

なんで私ばかり責められているのか――そんな気持ちから思わず口をついて出た。
すぐにしまった、と思ったけれど、一度出てしまったものはもう戻らない。

すると、小さく息をついて姫の体が離れた。
< 132 / 136 >

この作品をシェア

pagetop