【2/16 番外編追加】同期の姫は、あなどれない
「別に特別楽しかったってわけじゃない。来た以上はそれなりに打ち解けたほうがいいかと思って、そうしてただけ」

(……うん、本当は分かっている)

そうやって同期と親しくなってほしいと思っていたのも自分で、そのために無理に誘ったのも自分だというのに。でも、そうとは分かっていても、自分の中に渦巻くドロドロとしたものは消えてくれない。

きっと、この心の内をさらけ出しても嫌わないだろう。
姫と付き合って、少なからず愛されているという実感と、あの空間で自分を見てくれていたという事実が、私を少しだけ欲張りにした。

「……それでも、嫌だったの」

私の勝手な言い分に、姫は一瞬止まった。

「……わがまま」

ふっと顔を緩ませてから、私の頬を軽くつまむ。
言葉とは裏腹に、姫の声と表情は優しかった。

「明日の朝、データセンターに行くって本当?」

「そう。だから泊めてくれる?」

―――え?

「待って、泊めてくれる知り合いって私のこと……!?」

「他に誰がいるんだよ」

当然のように返されて、ほら、と手を差し出される。
細いけれど、やっぱり私より大きくて、少し骨張っている男の人の手。その指の間に自分の指を滑り込ませて、ぎゅっと握った。

「そういうことは他のやつにはするなよ?」

しないよ、と言う前に、私の唇はキスで塞がれたのだった。
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