【2/16 番外編追加】同期の姫は、あなどれない
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開いたままのゆきのの口からは声が漏れ続けている。
その声が望むままに攻めれば、自分の下で揺れる体が応えるように色づいてしっとりと汗ばんでいった。

部屋に着くなり風呂場に直行して、温まるのも乾かすのもそこそこにベッドになだれ込むという、自分でも呆れるほどのせわしなさ。思わず自嘲したのを自分が笑われたと思ったのか、やだ、と言って顔を隠そうとする腕を掴んでシーツに縫いとめる。

「何も心配しなくていい、可愛いから」

耳元にゆっくり吹き込むと、顔を赤くして中が狭まった。

可愛いと言うと、好きに比べてことさら恥ずかしそうにする。いつだったか不思議で尋ねたら『好きなら自分も好きだと返せるけど、可愛いは返せないから恥ずかしい』と言われたことを思い出す。

(どこでそんな殺し文句を覚えたんだか)

動きを速めつつ耳から首筋にかけてきつく吸いつくと、びくびくと腰が誘うように震えた。

「んぁ、っあ、ひめ、…!」

――ああ、もう、…っ

求めるような声に呼ばれて、瞬間的に果てそうになる衝動をどうにかやり過ごす。覆い被さる体勢から体を起こすと、一度大きく息を吐いた。

「ゃだ、も、焦らさないで、」

「……んな余裕あるように見えてんの?」

なぜだかゆきのは、俺が欲の薄い人間だと思っているふしがある。たとえ以前はそうだったとしても、今やそうではなくなってしまったというのに。
その元凶である本人は、俺が眉をひそめた理由をよく分からないといいたげな顔で見上げている。解消すべき問題がここにもうひとつ、あったらしい。

もどかしそうに身を捩るのを無視し続け、上り詰めそうになっては止めてを繰り返すと、やがて涙目になった。

「やだ、なんかいじわる……っ、」

「なんとでも」

弱々しく頭を横に振られて懇願されても逆効果だった。

「どうしてほしい?」

―――いつもなら理性と羞恥で越えられない一線を、俺のせいにして越えてしまえばいい。

「も、…いかせて、」

濡れた目尻に口づけると小さく微笑む。
すがりつくように自分の背中に腕を回す仕草に、愛しさが増した。
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