同期の姫は、あなどれない
 「……あー、うーん、今回はちょっと厳しいかも」

 何となく予想していたとはいえ、賢吾からの返答に落胆する。
 今回の連休は最大9連休、飛び石の平日を休めなかったとしても5連休もある。本当にまったく休めないの?

 「連休もずっと仕事ってこと?全部?」

 「全部ってわけじゃないけど、先輩にキャンプ誘われててさ。ほら、この前話した一緒にゴルフ行ったメンバー」

 どういうこと?
 私との予定を決めるより先に、キャンプ行く計画立ててたってこと?

 「なんで?この前、もう少し予定がはっきりしたら決めようって言ってたのに」

 「仕方ないだろ、職場の先輩なのに断れっていうのかよ。それで人間関係悪くなったらお前が責任取ってくれんの?」

 「責任?責任って何?」
 「だってそうだろ。お前が職場の先輩より自分を優先しろっていうんだから」

 賢吾は一気に捲し立てると、はぁ、と当てつけのように大きなため息をついた。

 「優先しろなんて言ってない。でも私は1ヶ月近く前から連休の予定を賢吾に聞いてて、それに対して賢吾が待たせてたんでしょう?だから私からは催促しないで待ってたよ?でもいつまで経っても教えてくれなくて、直前になってもう先約があるからって。それって酷すぎない?」

 もし先約があるのなら、私より優先するべき予定があるならそれでもいい。
 もっと早くそう言ってくれたら、私も気持ちを切り替えて他の計画を立ててたかもしれないのに。

 さすがに納得できなくて、さらに言い連ねようとしたとき。

 「――――ねぇ賢吾、まだ電話終わらないのー?」

 電話の向こうから、女の人の声が聞こえた。


 
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