同期の姫は、あなどれない
 5件目の問い合わせへの返信が終わったところで、私は少し前から休息を訴えている脳内を休ませるべく、リフレッシュルームへと移動した。

 (予想はしていたけど、ハードだなぁ)

 まだ11時なのに、すでに夕方ぐらいの疲労感がある。

 「いやー、今日ヤバいですね!朝からずっと電話鳴りっぱなし」

 マイボトルのお茶を飲んでいると倫花ちゃんがやってきた。

 「おつかれ。あれ、プロジェクト携帯は?」

 「上山(かみやま)くんにお願いしてきちゃいました。分かんなかったら『確認して折り返します』って言っといてって」

 倫花ちゃんはいたずらっぽく笑って、椅子に座る。

 「さすがに休憩入れないとやってられないですもん。あの人たち何でもかんでも『重要度高』にしすぎですって。全部一度に確認できないのに」

 「午後もこのペースだったら、こっちで優先度振り直そうか。最優先は製造と出荷。会計系は締め日がまだ先だから基本後回しで」

 「それ大・賛・成です」

 そうだ、と、倫花ちゃんは思い出したようにカフェラテが入ったカップをテーブルに置く。そして、持っていたバッグの中から何かを取り出した。

 「これ、お土産です」

 目の前に置かれたのは綺麗にラッピングされた箱。

 「え、さっきお菓子もらったよ?」

 大型連休明けは、旅行へ行ったメンバーがお土産を配ってくれることが多い。倫花ちゃんもココナッツクッキーのお菓子を配ってくれていた。

 「あれは課のメンバー全員向けで、これはいつもお世話になっている先輩にです」

 ラッピングのリボンを解くと、中身は綺麗な小瓶に入ったアロマオイルのセットだった。

 
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