【2/16 番外編追加】同期の姫は、あなどれない
上総ホールディングスといえば、都内のレストランやホテルなどの運営を手掛ける一大企業だ。
もとは町の小さなレストランから始まったらしいけれど、今や多角的に事業を展開していて、つい最近も箱根に高級旅館をオープンしたニュースを見たような気がする。
「早瀬、そういうの全然興味なさそうだもんな」
確かに、社内での噂でそんな話を聞いたことはあった。けれど、興味がないというか、そういうことをわざわざ姫本人に確かめようとは思わなかった。
でも、それで姫がこんなに慣れた様子なのも、スタッフの人と親しげに見えた謎も解けた。
「あ、電話。部長か、、悪い、ちょっと出てくる」
「会社から?どうぞお構いなく…」
「何だそれ」
席を外す直前にくすっと笑われる。お店の雰囲気に飲まれて、何だか言葉遣いまでかしこまってしまう。
落ち着く空間だというのは嘘ではない。
けれど1人になってしまうとやはり心細くなって、意味もなく辺りを見回してみたり、早く戻ってこないかなと姫が出て行ったお店のドアの方を何となく眺めてしまう。
「すみません、あそこにある水槽なんですけど、もう少し近くで見てもいいですか?」
「もちろんですよ。ぜひお近くでご覧になってください」
私はホールに控えているスタッフの人に尋ねると、にこやかに返してくれた。
もしかして、わざわざ聞かなくてもよかったのかな。自分の行動や言動一つ一つに自信が持てない。私はこの場所で浮いていないだろうか。
店内は全体的に光源が落とされていて、間接照明が不規則な影を作っている。それが白い壁や天井に浮かび上がっていて、時折りゆらゆらと揺れた。
まるで本当に海の中にいるようで、自分が海の底から見上げる魚になったみたいだと思った。
もとは町の小さなレストランから始まったらしいけれど、今や多角的に事業を展開していて、つい最近も箱根に高級旅館をオープンしたニュースを見たような気がする。
「早瀬、そういうの全然興味なさそうだもんな」
確かに、社内での噂でそんな話を聞いたことはあった。けれど、興味がないというか、そういうことをわざわざ姫本人に確かめようとは思わなかった。
でも、それで姫がこんなに慣れた様子なのも、スタッフの人と親しげに見えた謎も解けた。
「あ、電話。部長か、、悪い、ちょっと出てくる」
「会社から?どうぞお構いなく…」
「何だそれ」
席を外す直前にくすっと笑われる。お店の雰囲気に飲まれて、何だか言葉遣いまでかしこまってしまう。
落ち着く空間だというのは嘘ではない。
けれど1人になってしまうとやはり心細くなって、意味もなく辺りを見回してみたり、早く戻ってこないかなと姫が出て行ったお店のドアの方を何となく眺めてしまう。
「すみません、あそこにある水槽なんですけど、もう少し近くで見てもいいですか?」
「もちろんですよ。ぜひお近くでご覧になってください」
私はホールに控えているスタッフの人に尋ねると、にこやかに返してくれた。
もしかして、わざわざ聞かなくてもよかったのかな。自分の行動や言動一つ一つに自信が持てない。私はこの場所で浮いていないだろうか。
店内は全体的に光源が落とされていて、間接照明が不規則な影を作っている。それが白い壁や天井に浮かび上がっていて、時折りゆらゆらと揺れた。
まるで本当に海の中にいるようで、自分が海の底から見上げる魚になったみたいだと思った。