同期の姫は、あなどれない
本当に会いたいのは
 私が画面を見て固まったことを不思議に思った倫花ちゃんがこちらを覗き込む。

 倫花ちゃんには賢吾のことはときどき話していたし、音信不通になったことも知っていたので、私は2ヶ月ぶりに連絡が来たと言うと、今度はそれを聞いた倫花ちゃんが固まる番だった。

 一拍置いて大きな声をあげそうだったので、私は先回りしてそれを押しとどめると、意図を理解してくれたのかぐっと飲み込んでくれてほっとする。

 「今になっていったい何なんですかね!?」

 倫花ちゃんが理解できないとばかりに憤慨する様子を、どこか他人事のように見ていた私は答えることができない。
 確かに、2ヶ月以上も経って急に何の用だろうとは思うけれど、賢吾とのことがもっと昔のことのように思えて何だか現実感がなかった。

 「先輩、もしかして連絡するんですか?」

 「……ううん、たぶんしないと思う」

 「その方がいいですよ、勝手に音信不通にして2ヶ月以上も放置してから連絡とか、自分勝手すぎますもん」

 「うん、そうだよね…」

 そうですよ!と言うと、倫花ちゃんには途中だったランチを食べることに戻る。
 私も取り繕うように笑って、この話題を終わらせるようにスマートフォンの画面を閉じた。

 
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